北海道旅行記2007
4日目 網走〜サロマ湖〜オホーツク沿岸〜ウトロ
2007.9〜10
4日目の朝。
相変わらず風は強いようで雲の流れは早い。
ぐっすりと寝たおかげか、昨日の寒気は一切残っていなかった。
今朝は朝食を頼んでいなかったのでチェックアウトしてコンビニに寄る。
おにぎりとお茶を買い、車の中で朝食……なのだが少し味気無い。
天気も良く、せっかくなら景色の良い所で食べたい。
ということで観光地の一つ、天都山へ移動する。
まだほとんど来場者の無い天都山の駐車場で朝食とする。
気温は低めだが朝日が降り注ぐ気持ちの良い日だ。
朝食を食べ終わったところで展望台へ登ってみる。
博物館併設だが、展望台だけなら無料。
階段を昇り最上階へ。
最上階は360度の回廊室内展望所になっている。
ちぎれ雲の影が眼下の網走湖の上を動いて行く。
遠くにはオホーツク越しに知床半島がうっすらと見える。
朝の展望台はかなり爽快な景色が広がっていた。
今朝最初の観光を終えて次に向かう。
本来なら知床に向かうつもりだったが、昨日の夜に通過してしまったサロマ湖あたりがどうしても気になる。
せっかくここまで来ているのに通過では勿体ない。
そのような訳で昨日の夜に走った道を再び戻る。
太陽に輝く網走湖を左に国道を能取湖へ。
能取湖にはこの時期にだけ広がる風景がある。
能取湖は淡水と海水が混じる喫水の湖で、そういった場所にだけ育つサンゴ草という草が群生している。
このサンゴ草、8月下旬から赤く色づき始め9月半ばには一面が赤く染まる。
少し時期は遅いがまだその光景は残っていることを期待しつつ、群生地へ向かう。
今年は暑さが長引いたせいか、行ってみるとまさに最盛期。
見事に湿地帯は赤く染まっていた。
カメラの腕が無いのが残念だ。
風が強くカモメが前に進めずに飛んでいる。
まるで空中に止まっているようだ。
美しい風景を後に、さらに昨日の道を戻る。
向かうはサロマ湖。
昨日は不本意ながら通過してしまった風景を、取り戻しに走る。
しかし国道は湖とは離れて走っているのか、車窓からでは海に見えるぐらいのその大きな姿は見えない。
まずは目標とした道の駅サロマ湖を目指す。
しかしながら結局道の駅まで湖の姿を見ることはできなかった。
ここでトイレ休憩とかるくホタテの貝殻焼きを食す。
身は小さめだったが味はかなり良いものだった。
実は目指していたのはこの道の駅の裏山にある展望台。
サロマ湖を一望できるらしいのだが道はダートらしく状況がわからず、行くのを躊躇っていた。
そこで道の駅から登るかなどと考えていたのだが……
これが予想以上に高い山だった。
時間もかなりかかりそう。
やはりこれは車で行くしかなさそうだ。
店の人に展望台への道の状況を聞いてみると、どうやらそんなにひどい道でもないらしい。
それならば、と早速出発。
国道に看板がでていたので無事に展望台への道を見つけられた。
あとはひたすら登り。
道は締まったダートか砂利道で走りにくいことは無い。
展望台の手前で再び舗装路に変わり、しばらく行くと行き止まりになる。
サ
ロ
マ
湖
が
広
す
ぎ
る
ここから少しきつい階段を登るとかなり立派な展望台があらわれた。
室内には立派な立体地図と動植物のパネル展示があり、広くはないもののしっかりと作られている。
そしてなによりすばらしいのは屋上展望台からのサロマ湖の眺め。
左右に広がるサロマ湖は雄大で、本当に海のようだ。
またその向こうにはオホーツクとを分けている砂洲もくっきりと見える。
サロマ湖を一望できるこの展望台は訪れたならぜひ来るべきだろう。
とても写真では写し切れない。
しばしその雄大さに目を奪われていた。
展望台をあとにすると、再び車は南下する。
次に目的地としたのは、サロマ湖畔のキムアネップ岬というあたり。
ここへ行く道はサロマ湖畔に近いところを走る。
風は強いが、天気は良く気持ちの良いドライブ日和な一日である。
サロマ湖畔の温泉場を抜けて展望台からは30分程度で到着。
と、思った直前、サロマ湖と反対側に大地が赤く染まった場所が。
サンゴ草だ。
先程よりは小さいものの、こちらもかなり美しい。
先程と違いあまり有名でないのか周りには観光客の姿は一切見えない。
まるで独り占めしているかのようだ。
周りをハマナスの木が覆い強い風もいくぶんかやわらいでいる。
そんな光景にしばし見とれる。
その後目的地に行ってみたがこちらはキャンプ場と立派な管理小屋があるだけで、トイレにだけ寄り再び車に乗り込む。
今朝来た道を再び戻る。
網走市内にもどったところでそろそろ昼食にしたい時間になっていた。
実は今日の昼食には目標があった。
以前から寄ってみたかった、オホーツク海に一番近い駅「北浜」。
子供の頃にやったゲーム「オホーツクに消ゆ」の舞台にもなった駅だ。
その駅は今、停車場という駅舎を利用した食堂になっているらしい。
北浜駅の駅舎はなんとも古めかしい、昔ながらの駅舎が残っていた。
駅の中には名刺や千社札が至る所に貼付けられ壁を埋めている。
昨日の「食事難民」が一瞬頭を過ぎったが、その心配は杞憂に終わり食堂は無事に営業していた。
中はカウンター数席とホーム側に4人掛けのボックスが3つ。
もともと駅事務室だった所を改造した小さなお店だ。
ボックス席はおそらく古い客車から持ってきた背中合わせの椅子で、その上には網棚がしつらえてある。
網棚には鞄がおいてあったりと、列車に乗っているような雰囲気を作っている。
窓の外にはホーム越しに白波立つオホーツクが広がっている。
なかなかの風情だ。
料理も意外とメニューの数はあり、少し迷った。
結局オホーツクラーメンなるものを頼むことにする。
来てみれば海産物のオンパレード。
特に大きな蟹の爪がドンと乗っているのはインパクトがある。
味は塩味で個人的には好きな味で充分満足のいくものであった。
小さなイクラ一粒まで食べ終えると、ホームへ出てみた。
ホームの向こうはオホーツク海。
風よけのハマナスの木以外は何も無い。
さらにホームにある展望台へ登ってみる。
オホーツクの海岸沿いを一望する景色は素晴らしい。
白波が永遠と海岸に沿って続く。
風が強いため、飛んだ波の飛沫が海岸沿いを白い靄に包んで独特の光景を作り出している。
秋のはずなのに、まるで冬を連想させる景色だ。
暫く展望台で風に吹かれたあと再び知床を目指し始めた。
しかしここからは急いでいるはずの旅が突然各駅停車になった。
次の停車駅は原生花園。
道の駅もJRの駅に隣接して作られている駅である。
いる駐車場に車を停めて歩き出す。
その名の通り夏の初めは花が咲き乱れる場所なのだが、今は枯れかけのハマナスがいくつか花を付けているだけであった。
そんな遊歩道をぐるりと一周し、少し売店を冷やかす。
そんな中にアスパラジェラートがあったので食してみたが、なんだかアイスにアスパラを強引に砕いて混ぜただけの味でガッカリだった。
そして次の駅は花小清水駅。
ここも道の駅とJRの駅が一緒になっているのだが、こちらはもっと徹底的で駅舎が道の駅の施設にもなっている。
地元が作った道の駅らしく地元産の野菜などが売られていた。
駅に掲げられた看板には「DVM」の文字があり、どうやらこの駅が始発になっているようだ。
DVMに関してはJR北海道やDVMなんかで検索をかけると出てくるであろう。
ちょうど来た網走行きの列車を見送って次の街へ。
次に立ち寄ったのは知床斜里の街。
ここは駅ではなく郵便局へ寄っただけ。
流石に今までの旅で財布の中身が厳しくなってきた。
余裕のあるうちに降ろしておくに越したことはない。
ここからはJRと離れ、一気に知床へと向かった。
走るうちに日は傾き、オホーツクが昼から夜の姿になろうとして行く。
白波であるはずの波は時間が経つにつれ赤みを増し景色も同じ色に染まる。
もう確実に今日の知床観光は無理だ。
それでも一箇所ぐらいはと目指している場所があった。
それはウトロの手前にあるオシンコシンの滝。
夕闇に溶ける前に何とか着こうと、オホーツクに見とれること無く一気に走り切った。
到着した時にはもう辺りはすっかり赤く染まり、見事な夕焼けが空を染めていた。
夕焼けに染まる滝をカメラにおさめてその場所から夕日を眺める。
そうなるともう少し高いところから夕日が見たくなるものだ。
夕焼けに染まる景色に追い立てられるように、とにかく綺麗に日が沈むのを綺麗に見られる場所を捜す。
ウトロの街に入り高台になっている方向へと車を進めるが良い場所は見つからない。
そうこうしているうちに、太陽はオホーツクに消えてしまった。
がっくりしつつもこればかりは仕方ない。
気分を変えて夕食と風呂を捜すことにする。
今日は車の中で一泊するつもりだ。
まずは目星をつけていたキャンプ場の温泉の様子を見に行く。
国道から山に入っていくのだが、かなり厳しい砂利坂道を登る。
かなり短距離で高度を稼いだところに管理小屋としては大きな建物があった。
覗いてみると、どうやら簡易宿泊施設にもなっているらしい。
ここに泊まっても、と思ったが残念ながら満室だった。
一応風呂の存在は確認できたので、次は食事場所を探しに行こうと車に乗り込む時に何かに気がついた。
キャンプを張るエリアに何かいた。
夕闇に紛れてすぐにはわからなかったが、立派な角は見間違う訳もなく……間違いなくエゾシカの牡だ。
なんとかカメラにおさめたものの、あとで確認してみれば暗過ぎてかなりぶれていた。
そんな出合いに興奮したのか、ここでまた間違いを起こす。
温泉を確認したのち、車を先程の街とは逆に走らせたのである。
この時点で私は勘違いしていた。
先程の街の先にウトロの街がある、と。
しかし走っていくと、どうも様子がおかしい。
どんどんと道が登って行くのだ。
明らかにこれは峠への道だ。
どこかでUターンしようとしていると、左にネイチャーセンターが現れる。
これは間違いなく行き過ぎ。
一度駐車場に入り、元来た道へと戻り始める。
かなりのスピードでみんな走り抜けて行くが、私は慎重なスピードで下ることにした。
そして周りを伺いつつ、暫く走り停車。
実は先程、道のすぐ脇に鹿の姿を見た気がしたのだ。
ゆっくりと車を止める。
いた。
おそらくは母鹿と小鹿らしいのがが2頭。
1頭は母鹿の脇から離れようとしない。
まだかなり小さい感じだ。
そのすぐ脇を猛スピードで車が通過する。
そんな車に鹿達は全く気にする様子は無い。
なるほど、鹿との衝突事故が多い訳だ。
暫く鹿親子の様子を見て、またゆっくりと車を走らせ始めた。
ウトロの街に着くと、まず温泉の様子を見ることにする。
先程の温泉は休憩所が無く、のんびり出来ない様子だった。
そこで夕日を見る場所を探しているうちに見つけた温泉を見てみること。
休憩場所もあり、どう考えてもこちらのほうが良い。
まだ夕食を食べていないが、まずはひとっ風呂浴びてしまおう。
地元の温泉らしく、ちょうど食事時間でもあるのか誰も風呂にはいなかった。
内湯はかなり熱めであまり長く入っていられる温度ではなかったが、露天のほうは外の寒さともあいまってかなりいい気分だ。
途中で東京から母親と車で旅をする人と地元の消防署長さんとで話しが弾み、1時間半ほどの長湯になってしまった。
食事するのを思いだし慌てて髪を乾かしてウトロの街を回る。
しかし観光の街とはいえ、夕食は大体ホテルで済ませるもの。
さらに長風呂で時間も20時になろうかというところ。店などどこも開いていない。
仕方なくコンビニ食を選ぼうとした矢先、ホテル併設の蕎麦屋を見つけることができた。
しかも予想よりは安価で味も良かった。
蕎麦屋をあとにすると、今度は今夜の野営地を探す。
とはいえ、大体の目星はつけてあった。
ウトロの町外れにある道の駅「うとろ・シリエトク」だ。
ここを今夜のキャンプ地とする。
一番の決定の鍵となったのはトイレである。
かなり広く、そして清潔だった。
あまり汚い所はどうしても避けたくなる。
贅沢かもしれないが、せめてものこだわりだ。
車を止めると早速室内の改造にはいる。
後部座席を倒し、後ろに置いてあった荷物を前の席へ。
こういうときにステーションワゴンは便利だ。
床は少々硬いながらも、寝袋に潜ればかなり快適だ。
乾燥対策に温泉で使ったタオルをハンドルに掛けて、就寝。
時間はまだ21時過ぎだが、疲れている身体は簡単に眠りの底へ吸い込まれていった。