北海道旅行記2008  
1日目 東京〜カシオペア
2008.9


家の出発はそれなりに早い。
比較的軽量な荷物をもって出発地の上野駅へと向かった。
もちろんこれは列車が上野駅に見るためである。
元「鉄」としては当然であろうか。
カシオペア
列車は雰囲気のある上野駅の13番線ホームから出る。
順調に行きすぎて入線30分も前に到着してしまう。
ホームにある待合室でしばし待つ。
すでに同じようなお客さんが数組いる。
やはりそれなりに早く来る人はいるらしい。
これから乗務する食堂車のスタッフもダイニングカーの位置で待機している。
15時35分、列車はゆっくりとバックで入線してきた。
この風景を眺める人も結構いる。
しばらくはドアが開かない。
この間に乗務するアテンダントさんに列車をバックに写真を撮ってもらった。


機関車
ドアが開き、早速1号車へと足を踏み入れる。
まだ人のいない展望スイートという部屋をちらりと見て自分の部屋へと入った。
荷物を部屋に入れ、早速暗証番号を入力して鍵を閉める。
まずはコンビニやお土産屋でデザート等を手に入れる。
快適な部屋でゆっくり過ごすための準備としてはかかせない。
それらに以外と時間がかかり、今度は慌てて先頭へ向かう。
やはり機関車の写真くらいは撮っておきたい。
数枚をカメラに収めたときには出発までは10分程しか残っていなかった。

車内に入ると自分の部屋には向かわず、12号車のラウンジへと移動した。
出発はここで迎える。
この時間のラウンジはまだ空いていてとても過ごしやすい。
私のすぐ後に来た夫婦とともに閉まっていたロールカーテンを全てあげる。
これでホームからは動物園のパンダ状態になった。
もちろん若干の優越感とともに、ではあるが。
ビデオカメラをセットして出発の時を待つ。


ラウンジカー
16時20分、甲高い汽笛と共に列車はゆっくりと動き出す。
見物の方に手を振りつつホームは流れていく。
ガタガタと左右に揺られつつカシオペアは上野駅を後にした。
尾久辺りでさらにラウンジにお客さんが増える。
ずっと先頭に陣取っていては悪いので赤羽手前で席を譲った。
窓から差し込む優しい夕方の光の中で、たっぷりとラウンジの雰囲気を楽しむ。
平行して走る京浜東北線の女子高生に手を振ってみたり、相棒を写真に収めてみたり……テンションはかなり高い。

夕暮れ近づく中、大宮を出てしばらくするとロビーカーにはかなり人が増えて来た。
すでに出来上がっている人もいるようだ……
快適さが減って来たところで部屋に戻ることにする。
部屋があるのは一番後ろの1号車。
揺れる車内では12号車からの道程はかなり長く感じる。
まだ乗車してきていない部屋を覗きつつ部屋に戻った。
ウェルカムドリンクセット
部屋はメゾネットスイートと呼ばれるタイプの部屋である。
入口のドアを開けると上下に階段がある。
下に行くと1階にツインのベッドルームと小さなクローゼット。
上には2階に向かい合わせのソファーとトイレ、シャワールームが配置されている。
洗面台はトイレの上部に折り畳まれており、使うときは引き出す形になっている。
狭いスペースを上手く使った設計だと思う。

戻ってしばらくすると検札が現れた。
何の問題も無く終わると、程なくして部屋にあるインターホンがなった。
受話器を取ると『ウェルカムドリンクは何にしますか』との事。
オレンジジュースを頼むと、数分でアテンダントさんがドリンクセットを持ってきた。
ウェルカムドリンクとワインのミニボトル、ウィスキーのミニミニボトルが乗ったものがテーブルに置かれる。
まずはウェルカムドリンクを飲みながら部屋でくつろぐことになる。


カシオペア弁当
宇都宮を出発する頃にはかなり日が落ちてきている。
その辺りで頼んでいたカシオペア弁当が運ばれてきた。
本当ならダイニングカーで懐石御前やフレンチ、と言いたいところだがそんなお金は無い。
奮発してこの3500円のお弁当がいいところだ。
3段重ねのお弁当はなかなか豪華であり、温かいお吸い物もついてきた。
早速食事時間となる。
ワインを飲みつつゆっくりと食事をする。
窓の外はすっかり暗くなり景色もほとんどわからなくなってくる。
ゆっくりと時間をかけた食事が終った頃、ポンという音とともにオーディオコンソール脇のランプが光った。
この合図は車内販売の人が近くに来ると点灯するようになっている。
早速ドアを開けてお姉さんを呼び止める。
ここで買ったのはバニラのアイス。
予想よりしっかりした味であっという間に食べてしまった。
ふと外を見ると辺りは既に真っ暗で、その中にほぼ満月の月だけが煌々と浮かんでいた。
ワインを飲みつつゆったりとした時間を過ごす。
飲み終わった頃、アテンダントさんがお弁当のゴミを回収にきた。
ついでに飲み終えたワイン等のトレーも回収してもらう。
忙しい時間を縫いつつここまでやるのは大変な事だと思う。



列車は仙台を過ぎた。
新幹線なら2時間ちょっとでここまで来られる。
だが旅行であるならば、できればこれくらい時間をかけたほうがいいと思う。
なんとも優雅な時間である。
その割には行動は落ち着いていないが。
そろそろ3回目のディナータイムが終わる時間になる。
この後のダイニングカーは予約なしで入れるパブタイムとなる。
座席を確保するために早めに部屋を出た。
時間までしばらくデッキで待つ。
厨房のドアは開いており、中ではシェフが忙しそうに動いていた。
本来はドアは閉めるのだろうが、それでは暑いのだろう。
時間になったのでダイニングカーの入口に移動した。
すでに5、6組のお客さんが待っていて、少し驚いたが程なくして席に案内された。

早めに入れたので二人席を確保できた。
一番奥の席ではあったため、後ろ向きに座ることにする。
こうすることで車内の雰囲気を楽しむことができる。
メニューをみて軽いアルコールとつまみを2皿頼んだ。
ほとんどのお客さんが2人なので、4人席はどうしても相席になるようだ。
そんな様子を見ながら少し待つと飲み物が運ばれてきた。
この頃には既に満席になっており、私が案内されてから10分もたたずに席は埋まってしまったことになる。
この辺りの線路が悪いのか先程より列車の揺れが大きい。
そんな中を器用にアテンダントの方が歩いていく。
さぞかし大変だろうと思う。
のぞみも飲みます パブタイム そんな事を思っていると頼んだつまみがやってきた。
牛タンスモークとソーセージの盛り合わせである。
車内価格なので少々高いのは大目に見よう。
とはいえソーセージはなかなか美味しい。
動く列車の中でこんな体験ができるのはわくわくする。
こんな楽しい体験が出来る列車が減ってしまったのは寂しい限りではある。

パブタイムは1時間ほどしかない。
つまみも多めでゆっくりとしていたのもあり、すぐにラストオーダーの時間が来てしまったように感じた。
周りを見ていてもお客さんが入れ代わったテーブルは半分ほど。
お酒を飲む時間としては少々短い気もする。
あくまでレストラン営業のついでなのだろう。

部屋でも飲みます ほぼ食べ終えていた私は部屋に戻ることにした。
賑やかなダイニングカーを離れ静かな部屋に戻る。
なんだか少し飲み足りない気がしてウィスキーの小鬢に手を付けた。
が、割るものがない。
確か車内の自販機にサイダーがあった気がして再び部屋を出る。
近くの自販機にはサイダーは無く次の自販機へ。
そこにも無く、結局8号車まで歩いてやっとみつけた。
部屋に戻ってあらためてソーダ割りをつくり、ゆっくりと舐める。
列車は盛岡に着いた。
本州最後の停車駅である。
ほろ酔いになったところで1階のベッドに潜り込む。
適度な揺れは素晴らしく、すぐに眠りへと落ちていった。


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