北海道旅行記2008
4日目 北竜〜仁宇布〜美瑛〜十勝岳温泉
2008.9
何度か夜中起きたものの、はっきりと目が覚めた時には周囲は明るかった。
トイレのために車外に出る。
ひんやりはするが全く寒さは無い。
夜中に雨が降ったのか、路面は所々濡れている。
空は雲が早く流れ風が強い。
そんな雲を赤く染めて、今にも太陽があがろうとしていた。
車に戻ってカメラを取り出す。
山の向こうに出た太陽とその景色はなかなかのものであった。
が、まだ時間は早い。
再び寝袋に潜り込み、惰眠を貪る。
再び起きたのは7時になろうとしていたところで、少々寝すぎた。
昨日の寝た時間からしたらもう少し早く起きられるはずだったが、そうでも無かったようだ。
顔を洗い、寝床状態の車を整理する。
いろいろとやっているうちに時間は8時近くになっていた。
道の駅北竜を出て、まずはセイコーマートへ。
朝食を買い、再び高速に乗る。
あまり天気は良くはないのだが、天気予報を信じて北上する。
朝食は運転しながらになった。
士別剣淵で高速は終わり、ここからは国道をさらに北へと進む。
名寄を越えて美深まで行き、そこで国道から離れた。
天気はあいかわらず変わりやすい。
雨がぱらついたかと思えば太陽が照らしてくる。
はっきりしない天気である。

北竜を出てノンストップで一気に仁宇布という所まで来た。
すでに時間は昼といっていい時間だ。
ここにあるのは『トロッコ王国』という廃線を利用した施設である。
以前にも一度訪れかなり楽しかったので、今回の再訪となったのだ。
雲行きは怪しいが、ここまで来て乗らないわけには行かない。
受付にいくと、どうやら雨具を貸してもらえるらしい。
早速雨具を着て完全装備になる。
先に行っている他のお客さんが到着してからな出発となるので、暫くは待ち時間だ。
仁宇布の駅のまわりはほとんど何もない。
もともとは集落があったのだろうが、今は小さな食堂があるくらいである。
ただ駅の反対に新しめの建物が建っている。
以前来たときには無かった施設で、聞いてみるとチーズ作りの小屋らしい。
聞いたところによると10月ぐらいに実際に動きはじめるようだ。
10分程して先客が帰って来た。
しかしまだ出発する様子は無い。
しばらくは辺りをうろうろしたり、係のおじさんと会話したりして過ごしていた。
その間にもじわじわとお客さんが増えていく。
なかなか出発しないのでどうしたのか聞いてみようとしたところで、受付のおじさんが出て来た。
どうやら先客が帰ってたことに気がついていなかったらしい。
多少余計に待たされたようだが、まぁ仕方ない。
早速運転の仕方の説明に入る。
以前のったトロッコはエンジン付きの台に自転車のサドルが付いたような「いかにも」のものだった。
が、今回乗るものはしっかりとした大きなトロッコに変わっていた。
アクセルも手元のワイヤーを引っ張る形式から自動車のアクセルのような足踏みのものになっている。
かなり乗りやすいトロッコへと変わっていた。
平日だが、待っていた間に5組ほどお客さんが到着し、なかなか盛況な感じに見える。
踏切での停止(今は道路が優先)や橋の注意を受け出発となる。
出発順序は私が最初であった。
出発してすぐ、先程まで日がさしていた空に厚い雲がかかりはじめた。
と思ったら、いきなり大粒の雨が降り注ぐ。
慌ててカメラをしまい、雨具を被る。
先程まで必要無かったかと思われた、雨具が役に立った。
雨の中、トロッコは進む。
幸いにして強く降る時間は短く、5分もするとまた日が射し始めた。

雨粒が緑の木々の間で輝く。
川沿いに結構な勾配を下って行く。
帰りはこれを登って戻ってくるわけだ。
左手にビデオ、右手に一眼レフ、膝にコンパクトデシカメとかなり煩い装備で、周りの人からみれば馬鹿みたいである。
それでも私は撮り続けた。
約5kmいったところで折り返し場所となる。
以前は小さな転車台を使って方向を逆転させていたのだが、いまはレールがΩのように引かれ、そのまま方向転換ができるようになっていた。
ただし急カーブ過ぎて抵抗が大きいのか、アクセルをかなり踏み込まないと止まってしまいそうであったが。
すでに車で係の人が先に着いており、出発しないように手で止まれの合図をしていた。
単線であるがゆえ、後に来るトロッコをここで待つのである。
安全のために結構後ろのトロッコとは間隔が開いている。
後ろに続く4台のトロッコが後ろで待機して、初めて私に出発許可が出た。
今度は坂を登って行く。
以前はエンジンの力不足を感じていたが、このトロッコは大きいが故にエンジンも力強い。
アクセルを踏めばぐいと進んだ。
太陽も雲の間から顔を出し、緑が輝く。
こうなる度に止まってカメラを構え、また進むという後ろを走るトロッコには優しくない運転となった。
雨が降ったせいか気温が心地よい程度に下がり、その風を切って走るトロッコは最高の気分である。
あまりに気持ち良く、踏切に気がつかずに慌ててブレーキをかけたのはやってはいけないお約束だ。
まぁ実際にはほとんど車など来る道ではないのだが……
最後にいくつか踏切を渡り、再び仁宇布の駅に戻って来た。
雨具を返し余韻に浸りつつ次の目的地に走り出す。
次の目的地は近い。
というよりは、今日はここを目指して北へ走り続けていたのである。
道道から再び国道へ戻り、また北へ向かう。
そこから数km走ると今回の旅の最北端になる「道の駅美深」に到着した。
ここでの目的はただひとつ、きたあかりコロッケを食べる事である。
1つ100円のこのコロッケの為にここまで来る阿保はほとんどいないだろう。
しかし、私の旅は「途方も無い無駄」こそが本領なのかもしれない。
時間はお昼時だが、食堂には見向きもせず、きたあかりコロッケを2つ買った。
売店脇の小さなスペースに座り温かいコロッケを頬張る。
ほんのりと甘みのあるきたあかりコロッケは何も付けないほうがよい。
2つをあっという間に食べ終え今日の目的を達成した。
間食用のお菓子を買い足し、後は南へ向けて走るだけである。

美深、名寄、士別を通り再び高速へ。
さすがに稚内と旭川を結ぶ北の大道脈の国道はトラックが多かった。
ところが高速に入ると大型のトラックをほとんど見ない。
やはり国道だけで充分なのではないかとも思う。
今後の大まかな目的地は十勝である。
それに従って進むなら、旭川から富良野を抜けて行くことになる。
まずは旭川で高速を下り、少なくなってきた燃料を補給する。
ここで利用するガススタンドは去年に引き続きモダである。
昨年作った現金カードを捨てずにいたのだ。
まさか今年も使うことになるとは思わなかったが。
さすがにここまで600km以上を無給油だったのでタンクは空に近かった。
道は旭川市内を抜けて富良野へと向かっていく。
今まで信号待ちなどほとんど無かったので、信号だらけの旭川市内は精神的に疲れた。
市内を抜けると車の流れはスムーズになる。
とはいえ、十勝への主要な道であるためか、かなり車の量は多い。
途中の信号待ちを利用して今夜の宿を探す。
まぁこのあたりに来れば行きたい宿は一つなのだが。
実は今日はもう一カ所行きたい場所がある。
昨年定休日で行けなかった場所があった。
ランドカフェという名のお店である。
ケーキの美味しかった記憶があり、去年行けなかったリベンジを成し遂げたい。
ランドカフェは美瑛の南の辺りにある。
雑誌にも紹介されているだけあり平日でも賑わっていた。
お昼を食べていないこともあり、ランチメニューとケーキを頼む。
時間は15時近く。
賑わっているのは当然の時間である。
ランチにしては遅い時間ではあるが、お昼がコロッケだけでは足りなかった。
今日のランチはカボチャのスーブとパンのセットである。
甘みの強いまろやかな味が口の中に広がる。
量は多くないものの、この時間としては満足できるものであった。
ケーキはこちらも季節もので、しっとりとして重量感のある生地がほんのり甘く優しい味のケーキである。
食事、おやつをしっかりと食べたおかげで夕方という時間にさしかかっていた。
外に出ると風が先程より冷たくなっている。
雲の流れも早く、太陽が顔を出したり陰ったりと目まぐるしく変わっていた。
店の裏にある丘の緑が素晴らしく美しい。
風が一段と強くなってきたのか、かなり雲の動きが早い。
雲が厚いのか、日が指すと影になった部分とのコントラストがくっきりと浮かび上がる。
日の照っている部分は輝くように色が際だった。
そんな様子を写真に収めていった。
美瑛。
私が北海道の中でも好きな場所である。
そこを車でゆっくりと巡る。

時間も夕方近くであり、観光する人もかなり減っている。
それだけにゆっくりとあちこち見ることができるのだ。
夕暮れがすぐそこまで来ている。
素人もセミプロも一様に夕暮れのその瞬間を捕らえようとカメラを構えていた。
大地が赤く染まり、次に空が染まる。
そして最後に雲が輝いて太陽は山の向こうへと消えていった。
結局1時間以上を美瑛でうろうろとしていたことになる。
美瑛の駅の側を通過した時にはすでに周りは夜の様相を呈していた。
ここからは一気に山の方向へと登って行く。
比較的に道が良いのでスピードには気をつけて行かねばならない。
麓の温泉街を抜けると勾配は一気に増す。
山の向こうを見ると、空の淵にほんのりと赤みが残っている。
ぐんぐんと高度を上げ十勝岳に向かって突き進む。
望陽台までの道は広かったが、少し先にいくと通行止めゲートが現れかなり狭くなった。
対向車が来ればすれ違いスペースを使わなくてはいけない狭さである。
そんな区間を通り抜けると、暗闇にたくさんの車が止まっている場所がある。
それが有名な吹上の露天風呂へ行く駐車場であった。
すでに18時にもかかわらず、かなりの台数の車で賑わっているようだ。
ほんの少しだけ広くなった道を抜け、道は突き当たる。
ここで車は左折。
今までにない急勾配を登ってゆく。
そこから程なくして今日の宿、カミホロ荘に到着した。
早速荷物を取り出し部屋に入る。
部屋は西向きだったので遠くの山のへりがほんの少しだけ紫色に光っているのが見えた。
荷物を置くと早速風呂に向かった。
ここの風呂は湯舟も天井も壁も床も全て木で作られている。
これがまた気持ちが良い。
お湯は少し熱めで、入っては出てを繰り返す。
適度に温まったところで露天風呂へと移動した。
さすがに山の上だけあり、かなりひんやりとしている。
月が輝いているためか、あまり星は多く見えない。
ただじっと目を凝らしているとだんだんと星の数が増えてくる。
なんと素敵な露天風呂である。
食事の時間が近づき、惜しいなと思いつつ風呂を後にした。
食事もなかなか豪勢である。
今回はふらの豚プランにしたのだが、なかなか良い量の品が並んでいた。
ご飯やみそ汁はセルフだが、温かいものは温かく食べられるように後から出してくれるのも良い。
かなりの量で食べきれるかが心配していたのだが、難無く食べ終えてしまった。
慌てて食べ始めてしまったので、写真さえ撮り忘れるという状態であった。
このあたりが最近太り始めてしまった原因かもしれない。
満足な食事を終え、小さなワインを買って部屋に持ち込んだ。
美深で買ったチーズをかじりつつ写真の整理をし、テレビを見、ふと力が抜けた時には眠りについていた。